デバイドハイフローレクチファイア

T2Racing製 デバイドハイフローレクチファイアのご紹介です。

 

こちらの商品はキャブレターからの混合気をセンタープレートで流れを分割、独特なフィン形状でリードバルブ内を整流、エンジンの性能をアップさせる革新的なレクチファイア部品です。

  

レクチファイア ( rectifier : 整流器 )とは、キャブレターから送られた混合気のリードバルブ内側の流れを整流し、効率よくクランクケースに送り込むための部品です。
高年式の2ストロークエンジン車では必ずあるものですが、車種によっては、キャブレターとクランクケースをつなぐ役目をするゴム製のインシュレーター部品と一体になっていて、インシュレーターからツノのように伸びたものがリードバルブの内側両サイドにはまり込んで、レクチファイアの役目をするタイプもあります。NSR250RですとMC18まではレクチファイアはインシュレーターと一体で、MC21・28はインシュレーターとレクチファイアは別部品となります。別部品となったインシュレーターの方が、何らかの形に成形する制約が少なくなりますのでより性能アップにつながる形状を作ることができます。

 

皆さんご存知のように、レース用のキット部品としてHRC製のレクチファイア部品 ( 品番 : 14102-NKD-800 現在は廃番 )がありました。純正ノーマル部品がただ流れを邪魔しないように両サイドがスムーズに傾斜するのと比べ、HRC製は両サイドが丸みを帯びた飛行機の主翼の整流フィンのような形状となっています。たったこれだけの違いですが、シャーシダイナモで測定し、グラフを並べてみると、わずかですが明らかにHRC製の方がパワーアップしていることがわかります。しかし、これはもう30年も前の技術で作られた部品です。2ストロークエンジンの開発自体が止まっているので、致し方ないのですが、最新の技術でどこまで良いレクチファイアが作れるか、チャレンジしたのが今回の新製品となります。



まずはスポーツ系の2ストロークエンジンで市販されているレクチファイア部品を調査しました。
GP250・GP125の市販レーサーの最終型も純正は、NSR250Rのノーマルと同じような両サイドがスムーズに傾斜しているタイプで特に工夫がなく、チューナーさんに聞くと、NSR250R用のHRC製レクチファイア同様に両サイドを丸みを帯びたフィン形状にしたものを手作りではめ込んだりしていたとのことで特に新しいアイデアは見当たりませんでした。
では今も新車で2ストロークエンジン車が生産されているオフロード車ではどうでしょうか?
ヤマハYZ125の2003年以降、現行モデルまで採用されている形状で、真ん中で流れを2つに分割するタイプがありました。リードバルブ自体はNSR250R同様に上下3枚ずつ開く構造となっており、この上下をリードバルブ入口から分割整流し、さらに両側はHRC製のようにフィンのような形状でスムーズに先端へ流れる形状です。
アフターマーケットパーツとして、バルブ上下の間をVの字に切り、バルブ枚数を増やしたものがありますが、整流効果を狙ってのものとすると、わざわざ可動部品となるバルブを増やしてエネルギーロスするよりもヤマハ式の様に単純に真ん中に板で流れを分割した方が効率が良いと思われます。これをベースに開発を進める事にしました。

今の時代ですので、試作、製造には最新技術を導入し、開発のスピードアップと品質と性能向上を目指しました。
今や定番の3DCADでモデリングを行い、理想と思われる形状を数パターン設計。これを3Dプリンターで試作しました。近年充実してきたエンジニアリングプラスチック材を活用することで、形状確認だけでなく、そのまま実機のエンジンに組み込んでシャーシダイナモテストを行うことで開発を進めました。しかし、ほんのわずかな差で、良いところまでは行くものの、なかなかHRC製を安定して上回ることができません。やはりHRC製はよくできています。
流体がいかに抵抗なくスムーズにながれるかを考えて形状を何度も作り直しますが、性能追及以外にもう一つ重要なことがあります。それは、射出成型で量産できる形状でなければならないということです。
3Dプリンターでは、3DCADでモデリングした通りのものが簡単に作れてしまいますが、それをそのまま製品化すると非常に高コストになり、また、表面性や細かい寸法精度に問題が生じます。
そこで射出成形をすることになるのですが、金型で抜ける形状にするには様々な制約が生じます。往々にして、流れにこだわってしまうと、金型で1ピースで抜けない複雑な形状となってしまい、妥協点を探る必要があります。良い形状ができても、一品もので皆様にお届けできないものでは意味がありません。ここで数か月を要し、3Dプリンターによる試作品は数十個に及びました。
だいたい性能が出る形状がわかったところで、射出成型に向けた金型の設計も並行して進め、ここでも最新の樹脂フローシミュレーションを活用。金型を作る事前に成形可能かどうかを確認しながら細かく形状の調整を繰り返しました。
一つ一つは大変な作業ですが現代の技術によりハイスピードで進めることができ、設計開始から約半年、ようやくできあがったものがこちらです。


どうでしょう?ヤマハ製ともHRC製とも違う新しいカタチとなりました。
レクチファイアの入り口からストレスなく混合気が広がって流れるようにし、真ん中のプレートは極薄にし、入り口から少し進んだバルブ板の根元に近い部分から左右分割をスタート。

フィンは金型エンジニアと共にシミュレーションを繰り返し、金型構造に工夫を重ねることで成形性を確保。
量産できる範囲でベストな形状を追求し、このカタチとなりました。また、徹底した肉抜き加工により樹脂の収縮変形を抑え寸法精度向上と軽量化をはかることができました。この結果としてリードバルブボディーとのクリアランスも極限まで詰めることができ、プレートやフィンがありながら純正ノーマルよりも約1.7g 軽い重量となりました。この複雑な形状のレクチファイアがリードバルブボディーにスッとはまる感覚は快感です。

樹脂の材質は高性能なエンジニアリングプラスチックを採用しており、耐熱性、耐燃料性に優れた特性を持ち、高い耐久性が長期間持続します。長年レクチファイアを交換されていない方は変色、収縮などの経年劣化が見られると思います。交換すると性能アップの効果がより明らかになります。


肝心な性能はどうでしょうか?
シャーシダイナモによるパワーカーブは 下にございます「 他の写真 」掲載画像の通り安定してノーマル、HRC製を凌駕し、明らかなパワーアップを果たしています。ノーマルと比較で1馬力アップ、HRC製との比較でも0.5馬力アップしており、さらに回転数も100RPM程度プラスの伸びを示しております。このような明らかな性能アップを示したリードバルブ・レクチファイア部品がこれまでにあったでしょうか?トップエンドの 「 もうひと伸び 」 でライバルに差をつけることができます。

この部品を手に取っていただければ、その質感から明らかにこれまでの物とは違うということがおわかりいただけるかと思います。

 

※こちらの商品は2個1セットでの販売となります。ばら売りは致しておりません。

他の写真

  • 赤 … T2製
    青 … ノーマル
    緑 … HRC製
  • ノーマルとの重量比較
デバイドハイフローレクチファイア

販売価格: 14,800円(税別)

廃盤

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